目的と目標をはっきりさせましょう。
一口に収益不動産を購入すると言っても、その目的はいろいろと考えられます。そして目的に応じて、収益の目標も異なり、物件の選び方の基準も変わってきます。ですから、まず目的と目標をはっきりさせることから始めましょう。
- 老後の私的年金
- 老後の私的年金が目的だとします。そして、60歳になった時点で毎月手取り30万円は確保したいという目標があるとしましょう。そうすると、そこから逆算して物件を選ぶ訳です。経費を毎月10万円とすると、毎月40万円の家賃収入が必要になりますし、安全を見て家賃の値下がりも考慮すると、現時点では毎月50万円程度の家賃収入が望ましいということになります。仮にワンルームの1部屋の家賃が6万円だとすると、8部屋を所有し、満室を確保・維持すれば、この条件を満たすことができる計算になります。一戸あたり1,000万円で取得すれば、総額8,000万円の予算です。自己資金がこの内30%と過程すると、借り入れは5,600万円。年齢が現在45歳なら、15年間での返済計画を立てます。もし返済計画が厳しいようであれば、20年や25年返済とし、余裕資金ができた時点で繰り上げ返済するか、退職金で繰り上げ返済するという方法も考えられます。
- 相続対策
- 相続税の節税のために、自用地にアパートを建築するケースが多かったのですが、最近では、既存のアパートを収益不動産として購入することによって、節税を考える方が増えています。その理由として、地方都市あたりでは、地価が下落したために収益性が上がり、土地から購入しても利回りが確保できるようになったからです。自用地での活用ですと、納税用地を食いつぶしたり、そもそも入居者の心配がある場合もありますが、新たな資産を取得することによる相続対策では、これらの心配が少なくて済みます。また、収益不動産は、一般的に土地の評価が高いエリアが多いので、小規模宅地の評価減が大きく得られるのも魅力となります。相続対策であれば、購入後の相続税のシミュレーションを行うことによって、どの程度の物件を取得すれば良いのか判断することが可能です。購入前に必ず相続税のシミュレーションを実施しましょう。
- 投資目的
- 投資目的で、5年後に現金化を考えているなら、5年間で資産価値(収益力)が下がらない物件を選ぶ必要があります。満室を確保・維持した場合の5年間の手取り収入と、5年間の売却損(売却益)をトータルした金額が、投資利回りの基準となるからです。
- 資産拡大
- アパート経営は、本来コツコツと地味な収益を積み上げることにより、長期間で収益を上げていくものです。ですから、長期計画を立て、資産を拡大させていく姿勢が必要です。とにかく速いスピードで資産を拡大していきたいという方であれば、たとえリスクがあろうとも、高利回りを中心に考え、立地や築年数など物件のスペックにはこだわらない方針も必要かもしれません。
ローンでレバレッジ効果も期待できます。
収益不動産も投資商品ですから、金融商品のように全額自己資金で考えるのが理想だと言えます。しかし、実際にはローンを使用するケースも多くあります。ローンには、足りない資金を借りるという消極的な意味だけでなく、手持ち資金をさらに積極的に活用して投資金額を大きくするレバレッジ(てこの原理)効果もあります。例えば、3,000万円の自己資金で3,000万円の物件を購入して、利回りが8%であれば、満室を確保・維持した場合の年収は240万円です。ところが、ローンを9,000万円利用して、1億2,000万円の投資とするならば、同じ利回りで960万円の年収となる訳です。もちろん、金利負担もありますが、利回りよりも、はるかに低い金利で調達できれば、まず問題ないでしょう。現在の低金利を積極的に活用しない手はないのです。ただし、リスクのことを考えると、あまりに借り入れが多いのも考えものです。収入や他の資産の保有状況によって異なりますが、おおよそ自己資金は30%以上が目安と考えてください。つまり、自己資金の3〜4倍の予算取りをするのであれば、概ね健全な投資だと言えます。ローンは金融機関に申し込むことになりますが、金融機関によって貸出額や金利がまちまちです。また、一般の人が交渉しても、相手のペースで進められてしまい、望みどおりの融資を受けられないケースもあります。それを避けるためには、企画提案書などの裏付け資料を整理し、金融機関に正しい理解を得ることが重要です。例えば、相続税の節税効果や、5年後10年後に売却した場合のシミュレーションなどです。そのほか、経営の適正を証明する市場調査報告書など、専門的な書類も必要となります。そして、有利な条件で借り入れをするためには、これらの資料を揃えて融資申込みの代行を親身に実施してくれるパートナーを選ぶことも大切です。
必要条件を決めて物件を探しましょう。
個々の不動産は、世の中にたった1つしかないので目移りしがちです。それぞれに良い点も悪い点もありますし、悪い点を持たない物件はないので、そこばかり見ていると永久に決めることができなくなってしまいます。また、不動産の良い点だけを総合して、理想の物件を頭に描いてしまうのも危険です。他の商品と同様に、不動産も購入して初めて良い点も悪い点も分かってくるという面があります。いくら理想の条件を挙げても、それを満たすケースはきわめて稀でしょうし、条件を満たしたからといって、必ずしも成功するとは限りません。むしろ、インスピレーションで決めた方が上手くいくケースが少なくないのかもしれません。とはいえ、やはりデータを基礎にして検討することも大切です。収益不動産購入の場合は、必要条件を定めておいて、その条件が満たされる物件が紹介されるまで待ち、合致するものと出会えたら即決するという姿勢が重要です。例えば、エリアは自宅から1時間以内、総額は1億円以下、築年数は新築または5年以内、利回りは7.8%以上、駅から徒歩8分以内など、5つくらいの必要条件を設定した上で探すようにするとよいでしょう。細かい枝葉の条件には振り回されず、幹を見据えることが大切です。繰り返すようですが、不動産に100点満点はありません。一つの目安ですが、80点で合格とする姿勢が優良物件を選ぶコツです。
購入の前にリスクを分析し、対策を考えましょう。
必要条件を満たす物件が見つかったら、リスクのチェックと対策が必要です。一般に、リスクに関して言えば、既存(中古)物件の方が新築物件よりも、はるかに大きいと言えます。例えば、既存(中古)の賃貸マンションを購入したら、反社会的な入居者に占有されていて家賃の滞納があったり、入居者が退出し、空室が増えていたことが、後から判明したというケースもありえます。このような事態を避けるために、事前に管理組合に確認したり、近隣に聞き取り調査を行うなどのリスク対策を実施しましょう。また、建築後20年以上経過した物件では、そろそろ大規模修繕が必要となってきます。表面利回りが10%以上だと喜んでいても、大規模修繕を購入価格に加えて計算すると、利回りが下がってしまうケースもあります。さらに、購入時点での家賃が高くても、入居者が入れ替わった時点で相場が下がり、新賃料では20%もダウンし、利回りも同様に落ちた、という話もあります。さらに、ローンを組もうとしたら、建築年数が古いため融資期間を短くされて、収支上も赤字なってしまう、なんてこともあります。地震によるリスクも、新耐震設計をクリアした建物であれば安心できますが、それ以前の物件で、例えば北側が玄関や窓などの開口部で占められている建物は、耐力壁の不足によって地震で倒壊する危険性もあります。このようなファクターを考えると、新築物件の方が、はるかにリスクが少ないと言えます。リスク対策を積極的に組めるプロ以外は、新築または新築に近い物件から検討する方が無難です。もちろん、それでもリスクはあります。その最大のものが空室率です。しっかりとした管理会社が、常に適正な家賃を把握して入居斡旋を行うのであれば、空き室リスクを減らすことはできます。相場を無視した価格設定に固執し、空室を増やすことがないようにする必要もあります。また、金利の上昇リスクもあります。これに対しては固定金利期間を長くしたり返済期間を短くする、さらに繰上げ返済を実施して借入額そのものを減らすようにするなどの対策も可能です。いずれにせよ、購入する前にしっかりと分析し、対策を考えるようにしましょう。
*資料数字は、あくまでも参考値であり、内容を保証するものではありません。











